ゲーミング魚介類

元不動産営業の地方在住アラサー男子の雑記

地方移住のよくある勘違いと現実

地方移住者への支援?

こんにちは。ゲームの事ばかり書いている私ですが、一応不動産の記事もごく偶に書いておりまして、そんな私の興味を引くニュースがちらりと出ていました。それは、地方移住者に対し資金援助するとの事。都内23区から地方への移住&家購入した方に100万円(ポイント?)らしいですね。移住先や、購入する家の条件など気になる事を調べ切れていませんし、そもそも100万円だけで移住を考え始める人って極僅かだと思いますが、今回はそういった政策の是非はいったん放置し、地方移住の相談を受けいていた元不動産営業の実体験を書いていこうと思います。

私が働いていた地域

そもそも、地方と言っても幅が広すぎて中々一般論で語れないのですが、今回の記事の前提となる私が働いていた県は、移住したい都道府県ランキングでは必ず上位に入り、その中でも移住先としてそこそこの知名度がある場所で、地方都市と言えるような地域でした。それ故、東京都内からの移住相談や、他の地方から評判を聞いて移住を求める人たちの接客を頻繁に受けてきたわけです。そんな経験から、実際にあったよくある勘違いを書いていきたいと思います。これを読んで「え?そんなことあるの?」って思った方は、移住の前によく情報収集をしましょう。

車が必須

地方から地方という方には当てはまらないのですが、都内から出てこられる方に非常に多いのが交通手段の問題。都内なら車が無くても問題無いでしょうし、むしろ車を所有しているって少数派なのかもしれませんが、地方においては一人一台の車は絶対に必要

(というより、住民の大多数が車を所有してなくても生活が出来るような地域は地方とは言わないと思うんですよね)

免許は持っていても、運転は出来ないという方や、そもそも免許を持っていないという方も見受けられ、車が必須という状況を中々理解してもらえなかったのですが、その時から何度でも言ってきた言葉は「車は必須」です。

確かに、地方と言えども買い物施設や駅の近くに住めば、車が無くとも生活は出来ると思いますが、そういった施設の周辺は基本的に住宅街!しかもそういった施設の周辺は車の通りも多い為そこそこ煩い。のどかな風景・穏やかな暮らしも求めてきてるのに、住む場所そこでいいんですか?って聞くと「嫌です」ってなります。そりゃそうだ。

では、のどかな風景や穏やかな暮らしを送れる場所はどのような場所かというと、基本的に「不便な場所」なんです。駅まで徒歩1時間。買物施設まで5km。そういった不便な場所だからこそ、人は集まらない、のどかな地域となっているんです。そんな環境下、車無しで生活出来るのであれば何も言いませんけどね。自転車を~って方もいましたが…。利便性と田舎性は共存しないんです。

1000万円で住めると勘違い

これに関しては移住先次第では不可能でないので、参考程度としていただきたいです。
物件の購入費用として、「1000万円現金で用意してきました」とよく言われてきたのですが、そう言われても「足りない」というのが本音でした。
東京都内に比べれば、確かに物件価格は安いです。比べるまでも有りません。実際、1000万円あれば物件は買えると思います。ただ、「買える=住める」とはならない。それとこれとは話は別なんです。どんな幻想を抱いているのか分かりませんが、1000万円で買える物件は「雨風を凌げれば良い」という程度の物件で、正直住めたものではないです。特に都内でそれなりの家に住んでいた方では耐えられるレベルでない事がほとんど。私はそれなりの居住快適性を求めるのであれば、2500万は考えてくださいと伝えてました。2500万円でぼちぼちの中古住宅が買えます。それ以上だと新築で3000万以上が基準です。
なお、繰り返しになりますが、これらは私の働いていた地域の話なので、別の地域では問題なく購入し過ごせるのかもしれないです。

地方=田畑に囲まれた一軒家という幻想

最初の項目にも通ずる点ですが、地方移住と聞いて思い浮かべるお家のイメージが、周囲を田畑に囲まれた一軒家である事が割とありました。確かに、私の地域にもそういったお家はいっぱいあります。が、そんなお家が売りに出ている所を見た事は一回もない。そう、田畑に囲まれた一軒家を購入できる可能性は本当に僅かで、実際は周囲にも家が立ち並ぶ住宅街(密度だけは都会に比べると低い)に住むことになるんです。
では、そこら辺の田畑の一部を買い取って家を建てるなんて話も聞いたことがありますが、それって法律的に不可能な可能性が高く、出来たとしても手続きが物凄くめんどくさいので関わりたくなかったです。実際そういった計画を希望されていたお客様がいましたが、私は手を引きました。

人情味溢れている訳でも排他的でもない

地方と聞くと、ご近所付き合いが盛んで助け合いがなされているという話と、よそ者に厳しく排他的であるという話を聞きます。正反対の二つですが、私の感覚では「どっちでもない」です。より田舎の方(山間部などの過疎地域)にいけば話は変わると思いますが、地方都市近郊ていどでは至って普通の程度です。近くも無ければ遠くもない。これを良いと捉えるか、悪いと捉えるかは個人差がありますが、濃密なご近所付き合いをご所望の方には拍子抜けな結果になりかねないのでご注意を。


まとめ

取り合ず、私が思い出した事柄は以上です。たぶんまだまだあるので、ふと思い出したことが有ったら随時追加していこうかなと思います。

なお、私が移住希望者の方に対し毎回言っていたことは「デメリットと向き合う」という事です。移住という言葉に憧れ、キラキラと輝く将来像に目が眩んだ状態では、見たくない部分からは目を背けてしまいがちです(そもそも見えてすらいない事も)。そこで、一度冷静になって自分の状況を整理し、移住に伴うデメリットを許容できるかどうかを判断する必要があります。そのデメリットは、利便性の低下や、周囲の人間関係がリセットされる事など、人によって程度も異なりますが、しっかりと向き合いましょう。

そして、何よりも重要視していただきたいのは、それらデメリットを忠告してくれる不動産屋を見つける事です。どんな物件にも良い点と悪い点が絶対に存在し、移住という特殊要件が重なれば、それらはより鮮明になっていきます。しかし、そこに存在するマイナスポイントを伝えずに取引をしてしまう業者も悲しいかな実在します。法的必要な最低限の点だけ伝え、他のマイナスポイントにはあえて触れずに売り込みをしてくるのです。そういった業者ではなく、良い点も悪い点も平等に教えてくれる不動産屋を見つけると、移住計画もより良い物になると思いますよ。

それでは。