リスクの低い住宅ローンの組み方
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元不動産営業が教える不動産の買い方。今回は予算編です。
なんで予算から始めるのか
前回の記事にて、先に予算を組むことが大切だと書きました。
営業をしていた時も最初は予算の話から始めようとしてましたが、大体の方がこう思ってる顔をします。
「物件の話を聞きたいだけど…」
土地とか中古住宅の話を聞きに来たのに、なんでお金の話をされるのか、疑問に思うのもわかりますが、それは何故なのかを最初は深堀します。
ちなみに、住宅購入において予算の計画を立てる事を「資金計画をする」みたいに言います。ので今後は「資金計画」としていきたいと思います。
最初の理由は割と単純で、後回しにした場合、一番影響が大きいのが資金計画だからです。
あなたは大丈夫?
「自分は普通に正社員で勤めてるから住宅ローンも組めるだろうし、貯金もあるから大丈夫。計画なんていらんわ」
なんて考えた貴方。それ、本当に大丈夫ですか?
何を根拠に住宅ローンを組めると思っているの?事前審査はした?返済期間は何年で金利プランは何ですか?貯金っていうけど、どれくらいの金額を貯めてあってどれくらい出せるの?
断言します。「住宅ローンは組まずに、現金(貯金)のみで物件を買う」という方以外は絶対に資金計画が必要です。
あ、現金の方は必要ないです。本当は5000万円必要だけど、1000万円で買えるんじゃないかとか勘違いしている方でなければ問題ないです。この業界で住宅ローンを必要としない方は上客です。どこの業者に声をかけても歓迎間違い無しです。出来たら私のところに来てほしかった
そうではない、住宅ローンを組もうとしている貴方は資金計画をしましょう。資金計画とは住宅ローンの計画でもあります。
「俺、大手企業勤めだから住宅ローン大丈夫でしょ」と思った方は甘い。
私は知っている。
一部上場企業で世界的にも有名、その給与水準は地方においては特出して高く、皆さんも絶対に名前を知っているであろう超大手企業の正社員ですらも、人によっては住宅ローンの審査に落ちるという事を。
念の為に、かなりボヤかして書きますけど、私の過去の経験では、上記企業勤務の30代男性。貯金は1000万円弱。年収は800万円と地方においては超優秀な属性を持つ方が住宅ローンの事前審査(仮審査とも言う)に落ちました。
理由は数年前にクレジットカードの返済を滞納させたから。普段使わない口座を返済口座に設定していたカードを使った際、お金を入れ忘れており、半年ほど放置していたから。それにより信用情報に傷がつき、審査に通りませんでした。
いい会社に勤めているという事はそれだけでプラスに働くが、それは審査に通った後の金利交渉とかに関わる事柄だと認識してください。
審査に通すか通さないかは加点方式というよりは減点方式で、一定の点数を下回ればそれだけでアウトです。
信用が無い人にお金は貸せないんです。
そして、それを判断するのは銀行で(正確には少し違う)、貴方ではない。貴方の根拠のない「大丈夫」は業者にとってみれば不安でしかなく、結果的には貴方の為にもならない。
資金計画とは、住宅ローンを組めるかどうかを判別するという作業を含むのです。
(住宅ローンの事前審査が済んでいない場合、購入の申し出を受けて貰えない場合も結構あります)
良い物件を見つけたと思ったら、審査に通らなくて買えなかった。なんてならないようにしましょう。
と言うか、契約直前で「お金が借りられなくてやっぱ買えません」なんてなったら、関わった人皆不幸になるじゃないですか。
そうならない為でもありますし、貴方は財布の中を確かめずに買い物に行くタイプですか?
財布の中確認せずにレジに並んで、会計時にお金足りなくて買うの止めるって最高に恥ずかしいですよね。
不動産購入をコンビニでアイス買うみたいな感覚で考えないように。
何をするのか
では資金計画の内容について触れていきたいと思います。
実は上記の住宅ローンの審査はあくまでも資金計画の副次的な要素で、主な目的は「自分達がいくらまでの物件であれば買うことが出来るのか」を具体的に明らかにさせる事です。
不動産購入の資金源は「自己資金」と「借入」によって構成されています。「自己資金」は自分たちがどれくらい現金を出すか(親からの援助もここに含める)、「借入」はどれくらいの金額を借り入れるかを決めなければなりません。
それらを決め、「何となく○○○○円かな」ではなく「○○○○円までなら生活に支障を及ぼすことなく支払いが出来て、審査も通っており問題ない」と断言出来る状況を目指します。
逆に、ここまで出来ていないと、いざ物件を買うときに支払いは大丈夫なのかと心配になりすぎてしまい千載一遇のチャンスを逃すような事にもなってしまいます。
借入額の目安
多くの方が悩む「借入」について
最終的にいくらまで払うかは各御家庭の事情があるので様々ですが、一応、ここまでなら一般的に問題ないと言われる基準が存在します。
返済負担率という言葉があります。
年収に対して、住宅ローンの返済額が占める割合の事です。
例えば、年収500万円で住宅ローンの返済額が月々50,000円の場合、年間の返済額は600,000円で年収に占める割合は12%。この12%が上記パターンでの返済負担率となります。
※ここに限らず年収の金額は税金が引かれる前の金額と考えてください。
実は自分がいくらまでの住宅ローンを借りる事が出来るか、借り入れの上限を、この返済負担率により求める事が出来ます。
その基準となるのが30%という数字です。
年収の30%にあたる返済分の借り入れを銀行は認めてくれる可能性が高いです。
(30%という基準は銀行により異なります。35%とか40%とかの銀行もありますし、400万円以下なら30%、400万円以上なら35%とかもあります)
例えば、年収400万円の方の30%の支払いは年額120万円。月々なら10万円となりますので、10万円の返済分までなら貸してくれると想定できます。
では、月々10万円の返済は、具体的にいくらの借入額になるのか。
金利条件と借入れ期間によって増減しますが、金利1%固定の35年返済の場合、35,420,000円の借り入れになります。
年収400万円の借り入れ上限は35,420,000円となるのです。
皆さんの借り入れ上限はいくらぐらいでしょうか。
以下の式に当てはめて月々返済額を算出後、住宅ローンの試算が出来るサイトで計算を掛けてみてください。検索すればいくらでも出てきます。
年収×30%=A(年間の返済額)
A÷12=B(月々の返済額)
Bの金額を基に試算
(その他条件は金利1%で返済35年、ボーナス返済無しでいいかと。自由に設定してみてください)
そこで出てきた金額が、概ね借り入れできる上限額です。
重要なのは「上限額」である事。
銀行がこのくらいであればギリギリ生活出来るなと判断したラインです。もし仮に、その世帯の収入が400万円のみで、その30%である10万円が住宅ローンに当てられたら、日々の生活はどうなると思いますか?想像したくないですね。
しかし、世の中の営業マンにはこういった条件でローンを組ませる事も少なくありません。「銀行がOKって言ってるんだから大丈夫。」「周りの人はみんなくらいで組んでますよ。」なんて言いながらね。
借り入れる事が出来る金額と、借り入れすべき金額は別。
車だって出そうと思えば時速200kmとか出せるけど、皆ださないでしょ?それと似たようなものです。
ちなみに私は返済負担率25%は絶対に超えさせませんでした。20%以下にまでもっていけば健全といわれるような返済額で、比較的安心できます。
(ちなみに、年収400万を超えている世帯で、20%の返済が厳しい場合、他の支出に大いに問題があると考えていました。大体が交遊費か保険に使いすぎでしたが)
なので多くても25%、出来れば20%以下で計画を立ててみてください。
より一層安心したい方は家計簿をつける事を強くお勧めします。そもそも、家計簿をつけている方は、自分たちの支出の限界を具体的に把握できているので、これまでの計算は不要かもしれないです。
家計簿ってめんどくさいので、意外と皆さんつけていないのですが、この時ばかりは1ヶ月でも2ヶ月でもいいのでつけてみましょう。無料のアプリとかいっぱいありますし。
ボーナス返済について
住宅ローンの返済方法の中にボーナス返済というのがあって、年2回のボーナス時にも返済を行う事で、月々の返済額を抑えるというものですが、個人的にはこれはおススメしない。特に借入金額の決める段階での検討は非常に危険。何故かというと、月々の返済額が下がる分、多めに借りてしまうから。結果的に借入総額も変わらないのにも関わらず、月々の金額が低い為惑わされてしまうなんて事があります。ボーナス返済は気にしない様にしましょう。
今回はここまで
次回は算出した返済額でローンが組めるのか、銀行に確認してみよう編。またの名を、事前審査に出してみよう編。